誰かと思ったら、カイルじゃないか。
ラージュか、勝手に上がらせてもらったぜ。
すこしここで、夜風に当たってたんだ。
ここの風は気持ちいいな!
船の上を思い出す……。
船の上?
そっか、カイルは海賊なんだよな?
おう、カイル一家は大海原を駆ける海賊一家だ。
海賊一家かあ……!
カイル一家の船長はもちろんカイルなんだよな?
ああ、もちろんだ。
海賊船ってさ、
どんな役割の乗組員がいるんだ?
そうだなあ、当然その船によって違うんだが、
航海士にコック、水夫は必要だな。
それから大きい船になると、
船医や船大工を乗せているのもあるぜ。
いろいろあるんだな……!
なあ、オレが海賊になるとしたら、
どんな役割が向いてるかな?
えっ、ラージュが海賊にか?
たとえばの話だよ。
その前にさ……、
お前、船に乗ったことはあんのかよ?
船に乗ったこと……、
それはまだない。
なんだ、それなら役割うんぬんの前に、
海賊に向いてるかどうかもわかんねえじゃねーか。
う……、
まあそうだな……。
でもまあ……、お前、けっこう豪快な性格してるし、
俺のカンだと意外にいけるかもしれねーな。
おおっ、ほんとか!?
ただ……、ラージュが海賊船に乗れたとしても、
仕事が向いてる向いてねえは関係なく、
まずは雑用係からだな!
ええ〜…雑用係かあ……。
*船長やらせてくれ。(❤︎)
*操舵手を。(❤︎❤︎)
*なんでもやるよ。(❤︎❤︎❤︎)
*船長やらせてくれ。
雑用なんて面倒そうだし、
船長やらせてくれよ!
なに言ってんだお前は!
初心者がいきなり船長だなんて、船を沈める気か!?
あははは……。
やっぱり船長は無理かあ。
あったりめえだろ!
ま、どっちにしろ
ウチの船の船長は俺だがな。
*操舵手を。
じゃあさ、間をとって操舵手とかはどうかな?
何が『間をとって』だ……。
お前、操舵手ってどんな仕事かわかってんのか?
船を操縦する仕事だろ?
船長の指示に従ってさ。
それはわかってんのか。
でもお前、俺の指示にきちんと従えるのか?
もちろん!
船長の仰せの通りに。
調子いいなあ、かえって信用なんねえ。
えーっ、信用してくれよ?
船長に信用されたければ、
まず雑用からコツコツとだな……。
結局そうなるのかよ……。
*なんでもやるよ。
わかった!なんでもやるよ!
初めは雑用くらいしか、できることもないしな。
おっ、よく言った!
うんうん、そういう姿勢が大事だよな。
でもさ、雑用って実際のところ
どんなことをするんだ?
そうだな……まずはトイレ掃除だろ?
甲板や船内の床掃除に……あっ、大砲の手入れもな。
あれがけっこう大変なんだよなー。
手が真っ黒になっちまって……。
あとは積荷の上げ下ろしとか、
やってほしいことがけっこうあるんだよなあ……。
あのさ、カイル……。
ん?どうした?
それって、面倒な仕事を全部、
押し付けようとしてるだけじゃないのか?
ははははは!!バレたか!
……カイル……。